システムとビジネスモデルの思考実験

「システム」を語るのではなく「志」を伝える ~「Why」を語ることで顧客心理を制する~

はじめに

「iPhone」の新型モデル7月中に量産開始か?
このような話題がネットでささやかれています。
アップルの製品はなぜ話題になり、ヒットを連発できるのでしょうか。
なぜ、アップルだけが、多くの熱狂的ファンを獲得できるのか。
実は、このアップル社の躍進は、ある「成功法則」に基づいています。
それは、「ゴールデンサークル」と呼ばれています。

「Why なぜ?」から伝えることで人は意思決定をする

この「ゴールデンサークル」は、マーケティングコンサルタントであるサイモン・シネック氏が提唱している理論です。
サイモン・シネック氏は「人を動かし」「人に感動を与える」には「What 何を?」からではなく、「Why なぜ?」から伝えることが重要であると熱く語っています。

一般的には、
What 何を?
How どうやって?
Why なぜ?
という順序で、物事を考え、人に伝えます。

それを、アップルは、
Why なぜ?
How どうやって?
What 何を?
という順序で伝えることで、“人を動かしている”というのです。

例えば、一般のパソコンメーカーがCMを作成すると、
私たちは素晴らしいコンピュータをつくりました。
ファッショナブルなデザイン、操作はシンプルでユーザフレンドリー。
ひとつ いかがですか?
こたえは、「いりません!」このような結果になります。

他の業界も、ほとんどがこれと同様の方式です。

私たちは新しい法律事務所を開設しました。
最高の弁護士たちと大手のクライアントを抱えています。
私たちは常にクライアント第一で行動します。
これが私達の新型車(ニューモデル)です。
燃費は低燃費で、シートは総革張りです。
いかがでしょうか?
しかし、これでは、人の心は動きません。

アップルなら、このように伝えます。
我々の行動は全て、世界を変えるという信念で行っています。
私達が世界を変える手段は、美しいデザインで簡単に使え、親しみやすい製品です。
こうして、素晴らしいコンピュータができあがりました。
一つ欲しくなりませんか?

違いはどこにあるのでしょうか。ただ一つ、情報の伝え方を逆にしただけです。
しかし、受ける印象は全く異なります。
思わず心が動いて、興味を持ったのではないでしょうか。
この例は、人は「何を」ではなく、「なぜ」に動かされることを示しています。
人は「What 何を?」ではなく、「Why なぜ?」で意思決定するのです。
これが、アップルが競合他社より突き抜けた秘密です。

人は「理念」を持った製品・サービスを選択する

人の脳は、何を?どうやって?なぜ?の順番に説明されると物事を理解はしますが、意思決定には繋がりません。
意思決定をしているのは、脳の中心部分にあって「なぜ?」の部分を担当する「大脳辺縁系」が決定をくだしています。
この「大脳辺縁系」に、なぜ?⇒ どうやって?⇒ 何を? という順序で直接働きかけることによって、感情を揺り動かす事ができるのです。

アップルの場合
Why(なぜ?)
我々のすることはすべて世界を変えるという信念で行っています。
How(どうやって)
私達が世界を変える手段は、美しいデザインで簡単に使え、親しみやすい製品です。
What(何を)
こうして素晴らしいコンピュータができあがりました。
この順番で製品をアピールしてきたのです。

「製品の魅力は理解することはできたが、なぜか納得感が得られない」そのような経験があなたにもあると思います。

どうしてここで「感」なのでしょうか?
理由は脳の意思決定をする「大脳辺縁系」は 言葉を扱えないからです。
それは、「分からないけど納得“感”がない」という言葉に現れています。
その製品が「Why なぜ?」なんのために作られたのか?
という情報を先に、脳の中心部分まで届けていないからなのです。

事業を展開する際の伝え方

では、具体的にどのように伝えていけばよいのでしょうか?
システムやサービスを提供する場合、ユーザーや顧客に対して自分達がどのような想いで、この事業に取り組んでいるのか?まずは、これを伝えるべきです。
なぜそのサービスを始めるようになったのか
顧客に対してどういった想いで接しているのか
何を目指して事業展開をしているのか
その目的を達成するためにどのような苦労があったのか
このような情報があるだけで、他のサービスと比較された際、「理念」に共感できる方が選ばれるのです。
今回の事例では、システムやサービスを提供する際には「Why なぜ?」から伝えることで、共感を得られることを理解されたと思います。
アップル「我々は世界を変えるという信念で行動しています」のように「理念」を持った製品・サービスを、人々は選択するのです。
自分達がどのような、「理念」「志」を持って事業に取り組んでいるのか。システムやサービス提供を考える時、まずは「理念」「志」について伝えるところから始めては如何でしょうか。
今回は「ゴールデンサークル」を例として、事業を展開する際の伝え方について考えてみました。

このコラムでは今後も独自の視点で、システムやサービスのあり方、ビジネスモデルに関するユニークな事例等についてご紹介しながら読者の皆さまと共に考えていきたいと思っています。
最後に、サイモン・シネック氏の言葉をご紹介して、今回のコラムを終わります。
「Whyから始めよ!(Start with Why)」
それでは、次回をお楽しみに・・・

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