システムとビジネスモデルの思考実験

新システム登場とユーザの関係性を考える ~新型ゲーム機PS4の登場を例題として~

はじめに

最近「龍が如く維新」にハマっています。
そして、息抜きに「METAL GEAR SOLID V」も楽しんでいます。
突然、ゲームソフトの話題で恐縮ですが、今回はこのゲームの世界からのお話しです。

新システム登場とユーザの関係について

先日、PS4(PlayStasion4)がソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)から発売されましたが、今回はこのPS4の登場を例題として、新システム登場とユーザの関係、そのビジネスモデルが内包する課題などについて考えてみたいと思います。
PS4の前機種PS3(PlayStasion3)は、ブルーレイディスク登場と同時期のパッケージメディア変革期に発売されました。
高速演算処理が可能なCPU(Cell)の搭載と、ネットを経由したファームウェアのバージョンアップによって、機能を取り込むことを可能にした「進化するマシン」は、映像処理機能としては「全部入り」マシンと呼べるような内容でした。
その、PS3の発売から約8年が経過し、今回のPS4ではネットワークへの対応をより強化すると同時に、前機種のPS3とはソフトウェアの互換性を確保せず、隔絶した世界観を提示する新型マシンの登場となりました。
これは、前機種ユーザとの決別であり、新たなユーザ獲得へのアプローチでもあります。

ビジネスモデルが内包する課題

この新機種の投入で新たなユーザを獲得するビジネスモデルはソニー・コンピュータエンタテイメント(SCE)のゲーム機でのライバル、「任天堂」が得意とする戦略ですが、この方式では、新たなユーザ層を獲得できる反面、従来からのユーザを失ってしまう欠点があります。
ソニー・コンピュータエンタテイメント(SCE)ではこの課題に対応するため、ハードウェアではなく、クラウド技術を活用して互換性を確保する「プレイステーション」のストリーミングゲームサービス「PlayStation Now」を今夏から米国で提供を開始すると発表しています。
「任天堂」は、ファミリーコンピュータからスーパーファミコン、そして最新のWii Uまで順次、ゲーム機を市場に投入してきました。
新機種が登場すると、その機種にのみ対応したソフトを供給する。
その結果、旧機種のユーザは新しいソフトが発売されても、新機種を購入しなければ、新しいゲームを楽しめないという現象を引き起こしてきました。
この「新機種」を次々に市場に投入する方式は、「新機種」発売時に一時的に売り上げが伸びるなどのメリットはありますが、旧機種の互換性と決別した時点で、既存の顧客を逃がす結果となり、何らかの形で、対策を講じる必要があります。
私は常々「ビジネスモデル」の理想的な形は、システムやソフトを単体として販売するのではなくユーザの集合体「コミュニティ」へ向けて、サービス提供することだと思っています。

「コミュニティ化」を図る時の課題

それでは、今回例題としているゲームの世界で、「コミュニティ化」を図る時の課題について考えてみます。
ここで、重要なのは「新と旧の世界を繋ぐ」仕組みを作ることです。
例えば、キャラクターを育てる「育成系」のゲームを長時間プレイするヘビーユーザがいるとします。
ゲームを供給する側からすると、このようなユーザは「優良顧客」の予備軍ともいうべき存在であり、この「顧客層」を絶対に逃してはなりません。
この「コアなユーザ層」をターゲットに「コミュニティ化」を図りサービス提供を行う場合、どのようにすればよいのでしょうか?
例えば、旧ソフトと新しいソフトとの連携ができれば、コアな層をそのまま次の「コミュニティ」へ移行させることが可能となります。
つまり「今までの努力が水の泡にならない」そのような仕組みを作ることが重要です。
では、どのような方法で「世界を繋ぐ」のか?
それは、「両方の世界で共通して使えるポイント」のような数値で統一できる何らかの基準・尺度を設定することで、「ポイント」のやり取りができる仕組みを作ることです。
そして、「コミュニティ」のような、プラットホームとなる基盤を作ることで、ユーザ間で情報交流ができる「SNS」のような仕組みを作り「今までの努力が水の泡にならない」システム環境を構築することが重要です。
「今までの努力が水の泡にならない」仕組みについては「ナレッジの共有」や「事業継承性の確保」などの概念で以前から語られてきましたが、このような仕組みを中心としたユーザ間の「知の共有・集積」ができる「場」の提供こそがサービス提供者が目指すべきものであると思っています。
今夏から米国でサービスを開始するストリーミングゲームサービス「PlayStation Now」の詳細については、明らかにされていませんがこのサービスで、ユーザ同士がハードウェアの垣根を超えて、価値観を共有することが可能になれば、新たなサービスモデルの誕生へと繋がるのではと期待しています。
どんなに新しいシステムが登場しても、人間の本質は変わりません。
いかに高度で精緻なシステムを作り上げても、サービスを提供することの原点は、その先に人がいる人と人の関係性にこそあると思っています。
今回はゲーム機という、我々が日頃利用するシステムとは異なる分野からアプローチすることで、新システムとサービスモデルについて考えてみました。

このコラムでは、今後もこのような独自の観点から、システムとユーザの関係性、その先にあるビジネスモデルなどについて、考えて行ければと思っています。
最後に、私が敬愛する「現代音楽家」ジョン・ケージの言葉をご紹介して、今回のコラムを終わります。
「僕は、人がどうして新しい発想を怖がるのかが分からない。僕は、古い方が怖い。」
それでは、次回をお楽しみに・・・

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