システムとビジネスモデルの思考実験

「うどん」は「麺」が美味しければよいのか ~システムを構成要素から考える~

はじめに

地域情報化の観点で、新たな住民情報サービス(新たな施策の展開)を考えるようと言った時、いつも聞く言葉があります。
「全国初のシステムを創ろう」
「とっておきのシステムを開発したい」
「爆発的にヒットするシステムを考えよう」・・・
しかし、その反面、このような発言もよく耳にします。
「今まで色々やってきた、今更、びっくりするようなシステムなどない」・・・

「うどん」から見るサービスモデル

はものごとを、食べ物に例えてお話しすることがありますが、私が思うに、このような発言をする人は、「うどん」で言えば、丼鉢の中の「麺」しか、見ていないことになります。
「うどん」の「麺」だけを見て、小麦粉はどれがよいのか、国内産か外国産か、配合の割合は、使用する水の種類は、麺生地はどれくらい寝かせるのか、そのようなことばかり考えているのです。
「麺」だけを見て、その細部にばかり気を取られて、「うどん」全体としての構成要素が見えていないのです。
「うどん」というサービス提供モデルを、個別の構成要素から考えた場合、もう少し、別の観点から捉えることが出来るのではと思います。
「うどん」を構成要素から考えると、「出汁(だし)」も重要な要素のひとつです。美味い出汁(だし)と出会って、「麺」が活きるとも言えます。
恐縮ですが、つけ麺タイプが大好きだとか、ぶっかけうどんが一番だとか、そのような論議はご容赦願います。
出汁(だし)の他にも、うどんの上に乗せる油揚げなどの具、ネギなどの薬味や、うどんを食する時に供された七味まで、全て含めて「うどん」というサービスモデルが完成するのです。

よりよいサービス提供のためのコンテンツ認識

コンテンツは構成要素個別の「点」ではなく、総合的な「面」として捉えた場合、単体では見過ごすようなコンテンツでも、必要不可欠な構成要素になります。
このように、全体の構成要素を「点」ではなく「面」として捉えていないとそのサービスが持つ本来のパワーを引き出すことはできないと思います。
そして、サービスの構成要素を総合的に捉えて、コンテンツを「群」として認識することで、よりよいサービス提供が可能になります。
新たな情報サービスの提供を考える時、まずは既存のシステムを見直します。つぎに、関連する個別のシステムも含めた、複合的なサービスとしてシステム全体を俯瞰します。
この場合、脇役のように見える個々のシステムを再検証することが、新たな住民情報サービス創生へのヒントになると思います。
全体のつながりを考えた時、単体では見過ごすようなコンテンツでも必要不可欠な構成要素になるのです。

今回、例として取り上げた「うどん」の場合、「麺」と「出汁(だし)」を共通基盤(プラットフォーム)と想定すると、その上に乗せる具材「トッピング」の工夫で、様々なバリエーションが生まれます。
プラットフォームになる「麺」と「出汁(だし)」を共同で調達・運用することで開発・運用に掛かる経費の削減を図ることも可能になります。
また、共通基盤を共用しながら、上に乗せる「トッピング(サービス)」に独自性を持たせることで差別化を図ることもできるのです。
「うどん」を食べたとき、この出汁(だし)が染みた油揚げが無性に美味い。このような感覚は、誰しも経験したことがあると思います。
油揚げを食べたいから「うどん」を選択する人はいないと思いますが、「うどん」を食べたい人に、油揚げは重要な構成要素になります。

言うまでもなく、行政は多種多様な業務の窓口で住民サービスを提供しています。各種様々なシステムが稼働していますが、全てのシステムが補完しあって、自治体全体の行政サービスを支えているのです。
新たな住民サービスを考える時、いま目指すべきは、一大ブームを巻き起こすような、大ヒット必須の超目玉コンテンツを要するシステムとは限りません。
逆に、そのようなヒット企画(政策)を進めるためには、油揚げのようなコンテンツを地道に作っていくことが重要になります。
ひとつひとつのシステム(コンテンツ)を「点」ではなく、総合的、複合的に「面」で捉えて、大きなシステム群に育てていく、そうすると、どんな小さなシステムもおろそかにはできないのです。
今回は「うどん」と「麺」を例に、食の分野からアプローチすることで、システムとサービスモデルについて考えてみました。

このコラムでは、今後もこのような独自の観点から、システムのあり方、その先にあるビジネスモデルなどについて、考えて行ければと思っています。
最後に「ドイツの建築家」ミース・ファンデル・ローエの言葉をご紹介して、今回のコラムを終わります。
「神は細部に宿る(God is in the details)」
それでは、次回をお楽しみに・・・

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